2011年5月26日木曜日

織豊政権と江戸幕府 日本の歴史15 読了 一番好きな戦国時代の英雄たち



日本の歴史シリーズ第15巻 織豊政権と江戸幕府 読了
扱う時代は永禄16年1568年から 慶長20年 1615年 戦国時代末期 ヒーロー達が
いよいよ天下統一していった頃の話。

この日本の通史は全25巻のうちの15巻 総監修は 網野善彦



中世日本史を 民衆側からの見方を与えたひと。 有名な 逆さ日本地図

いつも見る日本地図


全く印象が違ってくる。 大陸との捉え方など。 この網野善彦が総監修なので、基本的に
戦国時代の権力(織田信長、豊臣秀吉、徳川家康)に対して民衆はどう対応したのかが書かれている。


尚且つ、この巻の著者は池上裕子 戦国時代の経済史が専門としている。




織豊政権と江戸幕府という本よりも 司馬遼太郎の太閤記など、歴史物の英雄譚のほうが絶対に面白い!それを読みつくして

ちょっと飽きたなあ という人への入門書のようなものだ。

織田信長の政治は一言で言えば、武断政治 及び 民衆統治は 最初に従えば所行を認める 

断れば 抹殺する。 特別に新しい世界をつくろうとしていたわけではなかった。

経済に注目し、農村の整備を始めようとするのだが、楽市楽座は 斎藤道三の考え、検地は

後北条氏が100年も前に実施している。 

その頃にまだまだ 半農半武士といった 農村部には足軽 がいて、自治が完璧に治まらない

状況が10年あまり続く。簡単に領土を支配できたわけではないのだ。

美濃、尾張という本国以外で 完璧な自治をして、検地を行えたのは 一向一揆鎮圧後の 柴田勝家の越前

その後、大和などを行っていく。 センゴク という漫画のイメージで描かれている信長像が強く表現されている。



以後、秀吉が山崎の戦いで 勝ち、柴田を倒していく。徳川との長久手の戦いで負けてから

武断政治から 融和政策に切り替わっていく。 信長が達成できなかった天下統一を不完全ながら

完遂した。

そして、その後、国替え 領地替え という方法をとり、大名を封建領主から 大名の官僚へと

変えていく施策を打っていく。

国替えでは、半農半武士だった農村の人間を、武士として領主と共に新しい土地に行くか農民になるかどちらかに身分固定させるようにさせた。

それは尚且つ、配属大名たちの戦闘力を排除することにもつなげる。一つの施策に何重もの効果を持たせて

実施していくのが 豊臣秀吉の政策運営だった。

そして、太閤検地では、実際に耕しているひとがその土地の所有者であり、小作人制度を基本的に認めなかった。

何分にも長年の戦乱で荒れ果てた農地をどうやって回復させるか それに専念していった政権だった。

しかし、当然ながら反対するものも出てくる。

半農半武士であり、その農村部のリーダー格だったものは、土地と収入は奪われ、武士としての栄達もなくなったのだ。

そのタイミングで奥羽一揆が発生する。 

ここで秀吉は 人道的には酷いが、政治的に正しい 反乱者の皆殺し作戦にでた。

これで恐怖と力を削いだ。 


秀吉は、太閤検地を通じて、農村と 間に入っている中世以来の領主群を経済的に殺していこうと

していく。 秀吉の直轄を広めようとするのだ。

反乱はなんども置きながら、農村側も 農村内の自治は農村の庄屋たちで運営していくようになる。

中間業者であった土着領主は 少なくなっていった。

農地を耕す権利、収穫は耕したひとのものである。

その法的根拠、武力的な力を太閤検地は与えたのだった。

それはその後江戸幕府の施策にもつながっていく。


そして、大量に貯めた財力で 朝鮮征伐に乗り出す。

教科書を読んでいると 殆どやらないところだと思う。 これで朝鮮半島が困り、明国の没落を

招いた、くらいなのだ。

この本では、どんな戦いをして、どこで負け、だれとだれが政治的に対立し、ということを

詳細とまではいかなくても説明してくれる。初めて文永慶長の役の意味がわかった。

兵站が伸び過ぎたのと、異国を統治することの難しさ。

有名武将がだいぶ朝鮮半島で戦っていることも驚いた。

そして、敗戦し始めた出兵した大名側と、内地で動いていた三成派との確執が発生していく。

そして、秀吉死去

徳川家康の権力が増大する。

関ヶ原の合戦へ。 両軍とも 秀頼公の名のもとに戦争をしたのは周知のごとく。

ラストは大阪夏の陣 冬の陣 の話となる。

この本は基本線は 権力側の歴史を書きながら、 本当の狙いは 当時の農民の様子

経済構造の説明。商人階層はどう発生して行ったのかの歴史的経緯

そういった経済史を説明してくれる本だった。 民衆側からの歴史本は、網野善彦の真骨頂だ。

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