2015年5月8日金曜日

吉川英治の講談集 夫人編 日本名婦人伝 青空文庫から

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日本名婦人伝 太閤婦夫人(秀吉の北政所)
日本名婦人伝 谷干城夫人(西南戦争時の熊本城鎮台 谷干城(たてき)夫人
日本名婦人伝 静御前(源義経の妻)
日本名婦人伝 大楠公夫人(楠木正成の妻)
日本名婦人伝 細川ガラシャ夫人(細川忠興の妻)
日本名婦人伝 小野寺十内の妻 (忠臣蔵)
この6つが公開されていた。
50年の著作権保護期間のおかげで、こうやって本が読めるのは感謝しかない。

すべてが歴史の転換期の人間たちの話。

大河ドラマもこういう歴史に名を残した人たちを主人公にしてほしいと思うんだが。

寧々(北政所)は秀吉との新婚生活から、良人の出世で、それに見合った教養を身につける努力をする寧々。そして良人の作り上げた豊臣家が滅亡するまでの大まかな流れと無常感

谷干城夫人は、西南戦争時の要だった熊本城に籠城した将軍の妻が、どんどんと薩軍の攻撃で干上がっていく中、兵士たちを鼓舞し、軍人の妻としての生き様と心模様を描いた小作品

静御前は、良人義経を追い払った頼朝の前で、静御前自身の戦として白拍子を舞う話。

楠木正成が戦死したあと、楠木党の指導者として、良人の死んでまで貫いた護国の為、息子たちを戦地に赴かせなければならない母と党首としての心情を書いた作品

細川ガラシャ夫人は、反逆者明智光秀の娘として本能寺の変以後の人生と、最後の石田三成の拉致に抵抗して、屋敷に火を放つ名場面を描く

小野寺十内は、江戸期の武士の夫人として、どうふるまっていったかを描いた作品。

すべての人間が小作品であり、娯楽であり、ちょっとした自己啓発や自己の生き様を考えさせられる作品なので、理想化された登場人物たち。

読まなきゃダメな作品じゃ全然ないが、ほぼ唯一といっていいほど、戦前戦中戦後をまたいで人気作家であり続けた人物「吉川英治」の精神性が端的にあらわれている講談作品。