2015年11月5日木曜日

池上彰の東工大講義世界編 感想




東京工業大学で行われたレベラルアーツの講義を収録した本

基礎的な時事問題に対して池上さんの考える原因と今までの事情や歴史的経緯を教えてくれる。時事問題を綺麗に整理して提示してくれる池上さん定番の本のスタイル

個人の政治的な姿勢をあまり出さないで解説や出来事を教えてくれるのが、NHK子供ニュースを思い出してしっくりと収まりがいい。


政治・憲法・通貨・経済・宗教・アラブの春・テレビ・アメリカ・中国・北朝鮮
トピックごとの代表的な例をあげて15回の講義に一つのテーマで講義・解説してくれる。

最後の技術流出の章だけは、討論編。サムスンへ移籍した日本の技術者の生き方はどう思うか、唯一答えがない意見の相違と議論をしていく。他の章は全て講義で池上彰の知識の断片を教えてもらうところだが、最後の章だけは議論を教室内でしているのでライブ感があって面白い。読者には議論の進め方を見て欲しいという仕立てになっていた。


日本の戦後原発・原子力との向き合い方
GHQの憲法草案 憲法9条の「芦田修正」ということや
1944年のドルとの固定相場制をブレトンウッズ体制といったのは知らなかった。

テレビのCMの入れ方など、知っても何の役にも立たない雑学も教えてくれる。
無駄知識だが毎日見ているテレビの現場話なので純粋に面白い。

中国の章では自分の若い頃は中国は今ほど大国ではなかったのであまり歴史を知らなかったが、中国の戦後史を勉強しないと!という気持ちにはなる。

年を重ねるごとに知識も抜けて、更新されなくなっていくもんだ。更新できるところをしていくとちょっとは面白くなり、自分も古くならないで済むのかもな。
この本を読んで感じる一番の感情。