http://www.aozora.gr.jp/cards/001562/card56072.html
こういう大岡越前、好きだな。
大岡裁きというものが舞台ではなく、この高名な江戸南町奉行が、
どんな精神を持って、人を裁いていたか、吉川英治の手によって、みごとに創作して書いた本。
この大岡越前は、最初期のころは、手の付けられない悪の道に染まり、
どうしようもなく、 養子の身でありながら、他所に女と子供を持ってしまう。
悪党にも慣れきれず、かと言って、正義の道へ復帰するでもなく、
ズルズルとこのまま人生を終わらせてしまうのではないかというとき、
出会った老師、そして、自分の為に足を負傷してまで探し求めた兄の元に戻ってくる。
話は、できすぎているのだが、あまりの法理への厳格さ、そして、その法によって
自らも裁かれようと死地をきめたなか、
将軍吉宗に、悪政ほどの罪は世の中にない、それを箴言していく、
このすべての人々が幸せにあるべし、人権思考などは、19世紀から20世紀のものだとしても、
物語として、導入があり、盛り上げ、山場をつけ、きちんとオチをつけて、最後にほろっとさせる
まるで映画のような感じのする講談本。
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