中学生からの哲学入門読了
竹田青嗣という哲学者がどうして哲学の道を志したのか
20歳くらいのときに一度自我が壊れるのだが、そのとき心の病にかかり、それから自己修復することを経験した。
もうひとつは、自分の理想が挫折して「世界」が壊れてしまい、運良く自己再生することが出来た。
この自我と世界の崩壊と再生の経験が哲学を志した理由というのだ。
このひとの挫折というのが、民族問題で翻弄されたこと、それによってマルキストになり一般の就職ができなくなったこと。
この経験で得たことが、人間が若いころどういう考えを正しいと考えとして持つのかははじめのたまたまの入り口に大きく左右される。はじめの「信念」をそのまま信じるな。一度検証し直さなくてはならない。
その時、アイデンティティと将来の展望を失った時に救ってくれたのが文学だった。
それとフロイトの夢分析だった。ただ、フロイトは無意識を発見したが、すべてを性的な抑圧で捉えてしまって、竹田青嗣の自己を説明することができなくなった。むしろ夢とは解釈は自分がどういう風にこの夢を見て、感じたのか、夢を見たことで自分がどう感じたかという自己確信がないとどうしようもないと気がつく。
そのなかで、自分の感情には、絶対にそうで思えること、なんとも確信のもてないこと、其の中間点というみっつの領域があると考えた。
確実なことを重視すれば、真理主義や科学、確信がないことを重視すれば相対主義、懐疑論になる。
ただ、確実か確実でないかという線引は、自分自身が持っているという結論に達する。
彼は心の問題は絶対的な答えは取り出せない。謎のまま、ただ、むしろ自分自身「ああ、こうだったのか」と納得できる自己了解の問題だと考えた。
まず人間がなにかを認識するという時、「事実を知るということ」と、「納得する了解する」という問題は本質的に違うということ。 「事実を知る」というのは誰が見てもこう見えるということだが、「納得了解する」は自分の中でこういう風に了解する以外ないという形でしか解決することができない。
人間社会の問題には真理を持ち込んではならない。人それぞれの真理を持っている。その多様な真理をどう他人と条件をつけて交換していき、共有していくか調整していくかが大事になってくる。
人間にははじめ家族、社会、友人などから自然に受け継ぐ世界観があり、その後本など、大学などを通じて世界に対する新しい見方を提示する、そして、その新しい見方がうまくいかない挫折がある。それはよく異性に対しての失恋という形をとることも多い。また、その新しい世界観への極度の献身を自己犠牲を要求され耐えられなく挫折してしまう形かもしれない。
その後、自分の世界というものが破壊されつくされた後、自己修復力によって世界が復元されてくる。生きている限り、食べ物を欲するように世界は必ず復元してくる。そういった欲望を人間には備
わっている。
そのとき、そのひとにとって何が大事かというと、どんな欲望を持っているのか。
その欲望は世界が再構築されないと見えてこないが、再構築するカギは欲望であるという
相関関係をもっているという。
次は宗教と哲学の違い
哲学とは、自分自身について自分で深く考える方法
宗教は死んだらどうなるだろうという自我の不安から生まれた
結果として物語として、世界の意味をあたえられる。
そこには哲学とは違って、真理が与えられている。
哲学とは、概念をつかってどういった原理でうごくのかを普遍的な考えかたを探し出していく。
そこに大きな違いがある。宗教が真理を求めるゲームだとしたら、哲学とは概念を用いて、原理を置き、過去の哲学者の考えかたに対抗した新しい原理を用いて説明するゲームである。
そして哲学で最重要なことは、世の中にははっきりとした答えを見いだせる問と、問うても決着がでない問があるということ、この原理が腑に落ちれば、ひとはどれだけ聡明になれるか
なぜルールがあるのか
哲学というのは、ルールがあり、それぞれのキーワードとなる原理を持ち寄り、少しずつ鍛えていくものであるという。そのなかで本質を見つけるというのは絶対的な認識を見つけるのではなく、みんなの中に共通の了解を作り出してゆくことになる。
もともと言葉のゲームだった哲学は、なにかを言い当てる道具ではなく、個々人の経験を共有していくための道具だった。
民主主義の社会では人々は平等で自由だと認められている。さあ、それは誰が認めたのか?特別なひとが認めたのではなく、相互にお互い認め合っていること、多くの個人が関わるのでルールが発生する。ルールなので、人間はべつに平等で自由であると誰かから認められているわけではない。それで、自分の親や学校はルールを制定し、自由の相互承認をできるようになってからはじめて、そのひとにも自由を与えられるようになる。
そして社会のルールの設定の仕方はどれならば大多数の人がまず納得するよりほかないというモデルを探すことになる。多くの人間の自由と価値観の違いを前提としてこれならば誰もが認めざるえないものとして可能な社会モデル、社会の理念こそがルールになりうる。
またルールには社会的なルールのほかに自己の内部にルールを持っている。それをヘーゲルは身体的欲求、自己欲望だと言った。また親からの教育、生育環境によって自分独自のルール、見方をつくってしまう。それは性格とも言えるものかもしれないが、まず自己の見方を見つめることではっきりと理解することはできる。自己ルールとは言い換えればよい、わるい、美醜のルールになる。その自己ルールを他人と交換しあい、批評し合うことで調整しあっていくことができる。ひとは友人と自分のルール(原理)を批評しあうことでしか、自分のルールを見ることができない。
そして人間の欲望は自己価値欲望といえる。それには他者の承認が必要になる。承認をもとめるゲームになっていく。そこで、近代哲学は、肥大化する欲望をどう抑えるか、他者の欲望を認め、そのうえで争いが起こらないようにしていく社会のシステムをどう構想していくのかが問題になっている。人間にとって他人の存在は生きることの根本要素 自分に承認を与えてくれる唯一の存在だが反対に承認を奪いうる唯一の存在でもある。
社会とは欲望の普遍的競争であり、人間を突き動かしているのも欲望によるものであるという。そのなかで必要となってくるのは、自己ルールのなかの原理を取り出して見ること、そしてそれを他者との関係性のなかできちんと維持構築できるようにしていくこと、そのときに原理を考える哲学的な考えかたが物凄く有効になってくる。
幸福とは何か
自分についての物語=歴史こそが自己理解の中心部分になってくる。
生きるということは自分の過去=歴史があり、そこに意味を見出す物語を作り出すことに寄って生きることができる。
主体的生き抜くには、自分の意志をもつことの重要になる。
ヘーゲルがいう自由とは
自由な意志によって結合された家庭 自分の意志による職業選択 国家の一員になること
だったのだが、現代社会ではすでに自由は達成されてしまったことでもある。
そのなかで資本主義のお金への欲望が持ち上がってきた。
ただし、この欲望は競争が激しく、ほんの2割程度のひとしか満たすことのできないものでもある。そのため、この欲望を一度再検討しなおす時期を持たねば幸福になることどころか不幸になってしまう。
ここで大事なのは、再度自分の意志を持つことではないかという。
第一に自分の言葉をしっかり蓄えること、第二にフェアな友人関係を大事にして、其の中で生き方にたいして批評しあうこと
人間は欲望を抱くのが自然なので、それに振り回しがちになってしまう。それを再検討しなければ、自分自身が欲望の奴隷となり、マスター(主人)とは成り得ない。
再度、自分自身の必要な欲望を吟味し、それを執着していないかを点検しつづけなくてはならない。それをしてこそ、自分の生への意志を持つことができるようになる。
自分の欲望がほんとうに自分を活かすものなのか、他人との関係をスポイルするようなものではないのだったら「ファンタジー」だったと考えてしまっても良い。社会は競争にまみれていて、その度合は年々増していく。自分の持っている才能と照らし合わせ、再度の自分自身の欲望への再検討をしていくことができるかどうか、第三の道として自分固有の欲望を見出すことができるかどうかが幸福に生きるかどうかに繋がる。
自分の意志を持つということは、自分の幸福の条件を才能や運に任せるのではなく、自分でよく掴み直すこと、言い換えれば自分で自由の条件を考え、作りなおすことにほかならない。
あまりに長くなりすぎて、まとまっていない文章だ。こういう読書メモは本当は30分くらいで本質を抜き出して書けるようになりたい。
2013年6月12日水曜日
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