2011年6月28日火曜日
希望難民ご一行様 ピースボートと承認の共同体幻想 希望を諦める事をどうやって成し遂げるか
21世紀初頭の日本は諦めることをどうやって成し遂げるかをずっと考えているのだな。
20年以上続く経済不況。色んなモノを失ってきて、それでもどうやって精神を生き延びるかを皆で考え続けている。
社会学専攻の大学院生がピースボート乗って観察してきたルポ+若者の貧窮、格差問題をとりあげた本
ピースボート世界一周99万円
飲み屋で貼ってあるやつ。
あれは、三枚貼ると、千円の割引になる。
それと、毎週何枚貼ったか、ボランティアで全国順位発表される。競争の楽しさがある。
ピースボートに乗る若い人は社会に弾かれはじめたことが多い。
乗る人の所得は安い。学生と、専門職年配を除き年収200万円代
社会的にあまり強くない人々が乗る。
規模の大きい会社の社員は殆どいない。
現在は、社会的上昇するチャンスは限られている。封建制のときよりは自由だが、18歳か22歳での選択がほぼ人生を決める。
例外はいくらでもあるが、不況の為、社会的地位の上昇する機会が少なくなってる。
願い続ければ夢は叶う。
夢は諦めない。諦めるのはお前だ。
この自己啓発、ポジティブシンキングはとても辛い。過酷で残酷な道だ。
そのポジティブシンキングに失敗したあと、別の道を模索している。
ピースボートにはそんな若者がたくさん乗ってくる。
ピースボートの役割は、所属する団体、貢献することのできる組織を提供することだ。
低所得者層の人間は、寄るべき組織がないことが多い。またその組織に貢献することも、経営上位層からこうやって貢献せよ、とコントロールされながら貢献を要求される。
それによって人間的にきつくなり飛び出してしまい、寄るべき組織を失う。
孤立した人に対して、ピースボートは平等で自由な空気と自発的なボランティアで、ピースボートにコミットメントすることを要求する。
実際は、ピースボートという会社が周到に用意してくれている仮初めのボランティアでもあっても、乗っかることが心地いい。
そのコミットメントがあることで、人々は集まることができる。そしてそこに共同体、仲間ができる。
そのうちに目的や希望を諦めて(共同体自体の維持が目的となり)、地に足がついたように生きるようになる。
友人が沢山でき、社会関係資本が蓄積される。希望を捨てて、成熟することができる。
分裂しがちな低所得者層に、連帯の場所を提供する。
仲間自体、それがやすらぎや楽しみになって日々の不満を忘れさせてくれる。
ピースボートは、内部でめちゃめちゃ濃い人間性ができる。
それがその人の社会関係資本になる。友達ができる。
友達と仲良く遊んで、ルームシェアして、たまに集まってホームパーティやって過ごせればいいや、くらいになる。
近代は、村を解体して、会社結社を作った。会社から弾かれた、外に出て行った人々は、現代では経済的に弱者になりやすい。
そんな彼らに友達どおしで助け合って、ほどほどに暮らして行けばいいよ。という村を提供する。
ピースボートは村を提供してくれた。
この村コミュニティは社会を改善していこうとする目的は持たない。関係を維持していき、そこそこに楽しむことを目的とする。
社会を変えるのは社会的精神的エリートに任せよう。
自分たちは日々の暮らしをそこそこに楽しみながら生きていく方法を取っていく。
低所得者層と上位層で分離していくなか、上位層に上がれなかった人間がいる。
それでもどうやって納得した人生を生きていくかを考えせてくれる本。
福島正伸さんのような夢を諦めない。
ポップ心理学のような引き寄せの魔法、
信じたら無意識が勝手に叶えてくれる
そんな原始的な宗教観や求道者の様な厳しい道を諦めて、暮らせるようになる。
ピースボートは、夢を諦める船だ。
諦める(成熟)てキツイ作業だ。
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