フットボールの犬 久々に心から読んで面白くて止まらなかった。
宇都宮徹壱さんが欧州のマイナーリーグ それもフェロー諸島やマルタ 旧DDR(東ドイツ)
此の人のライフワークのひとつであるバチカン諸国。
テーマは「フットボールのある日常」
かれがグローバル化によって、どんなにのっぺりした街並みになってしまったと言っても
やはりサッカーには、そのクラブの特色、広くはその国のサッカー文化の特色が現れてしまうもの
なんだという事を教えられる。
サッカー協会の立ち上げには、様々な問題が絡んでいた。ソ連崩壊から始まる政治的独立や、国家消滅した為に代表チーム自体がなくなってしまうという自体が起こってきた。
独立国家もだいぶ増えた。
これが確かに1990年初頭だった。その後のサッカーは、グローバル化での均一化と
テレビの発達していき、あまり差が激しくでないものになっていったのかもしれない。
この本でいまでも嬉しいのは、どんなにスタジアムで罵り合っていても
やはりそれはサッカー、フットボール好きという仲間意識というものがあるのだ。
トルコの章で、ライバルである ベシクタシュのファンの車に、フェネルバフェチェのファンの車がクラクションを鳴らしたシーン、
素晴らしい試合を共有したもの同士、この交流がフットボール観戦の原点だなと思ってずっと記憶に残った。
グローバル化してしまったかもしれないけれど、
実際に目の前で見れるのはJリーグだし、スタジアムでの熱狂や、自分のチームと言われたら
バルサでもなく、浦和レッズなんだという事だ。どんなに糞サッカーだったとしても。
目の前で展開される事よりもスタジアムに行ったりするこの高揚感。
こちらを全世界で、マルタやフェロー諸島のひとたちも感じているのだろうな。
この人の本は、本そのものの、未知のものだけれども、興味があることに対して
真摯に取材してくれる。足をきちんと運んでくれるので、写真も生きた写真が載っかるし、
文体も大好きなので、これからずっと過去の作品を読んでいこうと思ったジャーナリストだった
こういったファンになれる人を見つけられるのは嬉しいことだ。
2010年5月8日土曜日
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