http://ja.wikipedia.org/wiki/関満博
とにかく、ずっと現場を、とくに中小企業の製造業の現場をフィールド調査し続けた人
現場主義の知的生産法(2002)は、
総論が、なぜ中小企業の製造業の現場なのか、そして現場との付き合い方
前半が、実際に現場(特に海外生産工場)でのフィールドワークの仕方
後半が、それをどう形にまとめるか
現場主義の人材育成法(2005)は、
国内での実際の現場をどう訪れて、フィールドワークしているのか、
それの例として、深圳テクノセンター、
三鷹市、岩手県北上市、花巻市、宮古市
墨田区、最後尾として島根県
各おのおのの町の若手経営者にどう元気を注入していくか、盛り上がりを作るか
また、中小企業の後継者をどう育てるか、
と同時に学生、社会人(都内)、起業家をどう育てていくか、大学のゼミナールの運営について書かれている。
現場主義がなぜ良いのか
現場には発見がある。そしてそこには実際の人間がいて汗をかいている人がいる。
その人たちと実際に付き合っていくことで、本物の情報が得られる。
そして、学者側として今の世界の潮流や、現場の人間の仕事が世界のどこに位置しているのか伝える事で、奮起だったり、創造的な活動を一緒に経験させてもらえることができる。
学者として観察するのではなく、実際に中でモチベーターとして活躍させてもらえる。
そこに尽きる。
そのためには、現場とはただ観察させてもらうのではなく、一生の付き合いになるように愛していき、何度も定点観測する。その現場のひとに受け入れてもらえるようにする。
その反対に、相手から頼ってきたら身体と時間の持つ限りだれでも拒まず受け入れる。
「現場主義の知的生産法」前半は、
モンゴル、ウランバートルでのフィールド調査の事例
ここが一番具体的。荷物をどれだけ少なくしていったか、フィールドワークをするときのコツだったり、時間の使い方。どれだけその「場」に受け入れられるか、飲み会の席はとても貴重になる。
「現場主義の知的生産法」後半は、
実際に本にしたりデータをまとめたりする方法、そして関教授自身がやられている知的生産法
ここで大事なのは、現場にでないでできたデータは当てにならない。データとは分析するものではなく、自分で作るものだということだ。
アンケートでの回答にはない血の通ったものが出てくる
とにかく著書が多い。
どうすればそんなに書けるのか、方法としては、とにかく書き始めること。
そして、出来る限り平明な文で、まるでラブレターを書くかのように
わかりやすく、思いを伝える事
編集者との約束、絶対に締め切りは守る、遅れないこと、
そしてファンをどんどん増やしていく。
本は売れない時代。「書く」ものではなく「売る」ものとして考える。
どれだけ売れたか、どう売っていくか著者も営業をしていく。
そうすると次のお呼びがかかる
共著が多い理由
若手研究者、まだ
は本を出すことがなかなかできない。
そのために一緒に共著になることで、彼らにチャンスを与える。
個人でのノート活用術
この「知的生産の技術」(1969)の京大カード式を実践したが失敗
なので、B5B6ノートに全てをどんどんと書き記していく方法。
時系列方式で、すべて書込み、のちのち必要になったら手帳をインデックスがわりにその時のノートにあたる。ノートは安物を年200冊使う。
B6ノートは内ポケットにいれておくメモ帳 こちらは半年に1回くらいで書ききる
「現場主義の知的生産法」として最後にフィールドを育てる章があるが、短い。
ここをメインにしたものが
現場主義の人材育成法(2005)になっていく
こちらは主にフィールドワークをしていくなかで現場と一生ものの付き合いをしていくなかで、地方の中小企業の20代30代40代の若者、社長になっていくものたち
そして、一橋大学のゼミナールの学生たち、専修大学社会人大学院に集まる雑多な種類のサラリーマン大学院生たちの育て方。人材育成法が書かれている。
この本は、フィールドワークの本なので、事例は古い。
2004年時点での深圳テクノセンターの現状はわかるが、現状はわからない
なにより岩手県のところは、その後の震災で状況が変わったことでどう変化していったのか、自分で調べなくてはならない。
その分、この調査、この人材育成法が成功したのかどうか、2014年時点で調べる事ができる。
三鷹市の場合、団塊の世代の一斉退職が問題視されていたなか、
人口推移的には、うまく30代40代を保っていることができている。
三鷹市人口推移2013年
http://www.city.mitaka.tokyo.jp/c_service/011/attached/attach_11815_1.pdf
日本国人口推移2011年
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2011np/#a05k23-a
人口比率は若い。
書物で学ぶ世界より、実際に現場に行き、ひとと一緒に悩み、苦しみながら、ここが世界初、今までの事例はないということで尻込みするひとには、ここが世界の先端を走っているのだということをモチベーターとして伝えていく。世界初と言われて「やる気」が起きないひとはいない。存在しつつも、ともに一緒に汗をかいていく。一緒に悩み、問題を解決していく。
2003年岩手県北上市人口推移
http://www.city.kitakami.iwate.jp/_data_p/files/p_0002182/1239175862569.pdf
2013年岩手県北上市人口推移
http://www.city.kitakami.iwate.jp/_data_p/files/p_0007161/1365074737880.pdf
こういうデータを見るより実際に現場に行き、肌で感じてきたほうが何倍も得られるものがあるとこの本は何度も説いている。
墨田区の事例として、中小企業の後継者問題。はじめはこどもが継ぐのではなく、従業員のなかからこれぞという人を登用したほうが良いと考えていた。
ただ、中小企業の社長とは、個人担保を含めて無限責任を負わなくてはならないから、子供のときからそのような経験を見てきた商人の息子か、血のつながりがある人間が継承したほうが良いと考え始めた。
そのなかで中小企業の子弟たちをどう目覚めさせるか、墨田区とくんでの私塾をスタート
ここでは大学のゼミナールと同じで全人格をもってゼミ生、私塾生と接するスタイルをとる。
このひとは全てにおいて人間性、そういったものを重要視していく。そしてぶつかって現場で汗を流して、そのなかで普遍性を探し出していく方法をとる。
その人材育成法がゼミナールまたはひとりひとり向き合える人数規模の私塾方式を勧める。
モチベーションを上げ、ひとの心にやる気をつけるのは「世界の先端」を見せていく事。
それも書物ではなく、実際にこの目でこの身体で経験させること
このひとがずっと続けていく事は、「相手に対して関心を持ち続ける事」(人、地域、企業)
関心を持たれると勇気がわく。
世界の先端を自分の経験でかたり、実際に連れて行き経験させる事
世界の先端をみて、高揚し、やる気のでないものはいない。
現場主義のフィールドワークを通じて、
相手への関心、相手と一緒になって育てていく。
世界の先端の経験を伝え、実際に経験させていく。
世界の先端を知るために続く実際のフィールドワークの仕方。
それをどうまとめるかの知的生産法
その五点が書かれていた二つの本だった。
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