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続堕落論
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凄く勇気を与えられたんだと思う。
タイムカプセルみたいなエッセイ
1946年4月に発表、12月に続・堕落論発表、47年6月に出版
この時代に雑誌、本を読む事ができた読者層は、アッパークラスだったんだろうが。
普通のひとは日々の食料確保に必死だったと思う。
自分は、2014年から、戦後直後を見るわけで、
A級戦犯だったり、東京大空襲、特攻隊の悲劇を見てこれる
その時の日本人、日本がなにを考えていたのか、うっすらと読み解ける。
戦争に突入して、敗戦、占領下に置かれた日本は、米人達が、日本人は虚脱し放心している という。 それに反して、戦中、空爆を受けていた罹災者達は虚脱や放心と違った驚くべき充実と重量をもつ無心であり、素直な子供であった。このときは堕落はなかった。破壊されたこと、そしてその生命の躍動はあまりに素晴らしかった。
生死の危険がもたらす躍動感、素晴らしさを唄っておきながら
だが、堕落ほどの平凡さ、当然さはなかった。
と繋がる。
60、70の将軍達が切腹もせずにくつわを並べて法廷に引かれる。武士道は滅びたが、
堕落という真実の母胎によって始めて人間が誕生した。生きよ堕ちよ。
あれだけ生きて虜囚の恥ずかしめを受けるなと言っていた軍部のトップが恋々と命を長らえようとしている。それはとても人間らしい。
と生きながらえようとする軍部の人間を評価する。
戦争中は美しかった。武士道があり、天皇制があり、生死を分けた空爆もあった。
でも、人間は生きていき、考えて、死んでいくという制約がある。
美しいままに終わりたかったら、死になさい。
赤穂浪士の義士達が死んだ事で名前を残したように。
生きることは堕ちる。そこ以外に人間を救う道はない。
ただ、人間は無限に堕ち続けるほど強くはなく、
また武士道、天皇制のような幻想を生み出して生きていくのだろう。
そういうたった20ページのエッセイ
敗戦直後の一億総懺悔のなか、
信じていたことに変節しなくては生きられない世界というのは苦しかったのだろうな、
と思う。
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