2011年1月17日月曜日
未来工業創業者の自伝 俺は社員が決めたことは何でも採用する主義だ ばかやろう
取引先の方から紹介していただいた本。
日本一休みの長い会社未来工業 の創業者 山田昭男 の自叙伝
読んでいて楽しくなって仕方ない本。
未来工業は 創業者自身が演劇にハマりすぎて父親の会社を首になり、勘当されてから個人で立ち上げた会社。
この人にも共同創業者 清水昭八氏がいる。 彼とペアになって創業した。彼が技術を担当し、山田氏が営業を担当していった。20年で1800個の特許などの工業所有権を取得していったそうな。
清水氏の持論は、常に現場の声を聞き、なおかつ現場の声に惑わされない広い視野をもて
その為に
「常に考え続けろ」
こんなモットーで業績を上げていった。
清水氏が理念と根性を掲げたら、山田氏は人間を観ていく。それも市井の人間として見ていく。
新しい提案したらそのつど 「500円」
この500円という金額がこ憎たらしい。大金だと萎縮するかお金集めのゲームになってしまう。
周りからお金目当てだと陰口を叩かれる恐怖心も生まれちゃうだろう。
でも、500円だと気軽に新しいアイディアをだせる環境。 この絶妙なさじ加減が山田氏の
経営の真髄かもしれない。普通の人間、特別な精神力があるわけじゃない人間のやる気をどう
乗せていくか、良いものを創り上げるかそれが満ちている。
沖縄に営業事務所を営業マンが勝手に作って、それを後追いで認めるという想像だにつかない方法で出来上がったりする。
自分が社長なのに、札幌営業所所長を首になる。
わけがわからないエピソードに溢れていて、まるで講談ものを読んでいる気持ちになる。
社長がまるで会社という舞台で演劇をやっているみたい。
セクションごとにわけて、そこのセクションは、監督ですら変更の権利はない。
お金のやり取りをする銀行の窓口ですら、社長ではなく最初から事務の女性だったという任せっぷり。
社長こと監督にあるのは、その彼を任命するか解任するかの人事権のみ。
この徹底ぶりは惚れ惚れする。
どれだけ良い舞台を創るのか、それには全ての関係者が本気で取り組まなくちゃならない。
それには相手を信頼して任せちゃうことがいちばんという、なんとも凄い豪快な社長さんだったんだな。
「俺は社員が決めたことは何でも採用する主義だ。ばかやろう」
カッコ良すぎます。山田社長。
会社経営のキモはやる気をだしてもらうこと。中小企業には優秀な人材は集まるわけじゃない。
ずっと優秀じゃなかった自分が心から感じることだが、
優秀じゃないひとは、自分でなにかを決めさせてもらえる機会が本当に少ない。小学校のときから、社会人になっても、フォローしかさせてもらえない。それでどんどんとつまらなくなってしまって、もっとやる気がなくなるんだ。そして不満が溜まっていく。この生き方は面白くなく、本当に疲れちゃうのだ。
こういう負のスパイラルを、断ち切るのは難しいけれども、それをしてくれる人がいるというのが
本当の人生の先輩なのかもしれない。
そして、本を読むことは、そういった人生の先輩に会うことができる行為なんだ。
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