蓼科山荘物語 リクルート元常務の生嶋誠士郎氏の著書
リクルートの現場で経験してきたことをまとめた100近くのエッセイ
仕事から得た経験からその人の人間観に基づいて発せられた言葉とその顛末のエッセイ。
なにより、言葉の力、喋る力というのは自分と他人の人生にどう影響してきたのか?
多々のリクルート本があるなかで、この本の特徴は発する言葉に対しての感性が特徴的。言葉の持つ力で人の心に影響させたいと思ってたら面白い本。
基本的には、人生観のとても強いビジネス書なんだろうなあ。
人生観は至って普通。
ただし実践することは困難であり、
著者も度々できていないことを告白している。
理念として
高潔な人間であれ。
人智を超えた先にある神の存在を感じ、祈りなさい。
自分自身に固執せず、それを解き放って行動せよ。
自分のいる場所が裏方だろうが、表だろうが、一生懸命頑張ることが一番大事
士は己を知る者の為に死す
凡人であるというじぶんの限界を知りつつ、そのうえで全力を尽くすこと
実践編として
社内政治(周りの人間関係、力関係、キーマン)を全力で頭に叩き込め。これで後々の行動がすごく楽になる。
忠誠心を求めるなら、反対給付である立場、給与、居場所などを与えなくてはならない。忠誠心は無償では得られない。
などなど
真っ当な人間の生き方を説いている。
タイトルはとても特徴的でキャッチーだが、
リクルートという明るくリア充の塊のようなイメージの会社で明るく振舞っているやつも、
あれは演じているんだ!リクルートという文化のなかで。むりやり合わせようとして。
だから暗くても明るく振舞うように無理をするな。
しかし、暗いというのと、自己中心的、己の世界に閉じこもっていることは暗いとは言わない。
人間だれしも闇はあるので、その闇に対して畏怖の念を持ち、奢らず謙譲の心をもち、
己の卑小さをわかりつつも情熱をもち、言葉少なくても高ぶる精神をもっていること
そんな意味だった。
面白い箇所は、118ページの「コミュニケーション能力 あなたにはない」
コミュニケーション能力の段階を説明していて、
基本
1 じぶんの言いたい事が言える
2 相手の言っていることが理解できる
第二段階
3 じぶんの考えをドキュメントにできる
4 反対意見を正確に述べられる
5 相手を説得できる。論理的に。さらに難易度が上がって感情的にも。
第三段階(名人芸)
6 目線で意志を伝え、相手を巻き込める
7 後ろ姿が常に説得的である。
コミュニケーション能力は伝達手段という意味ではなく、むしろ信頼関係のこと。その手段として言葉がある。その土台の上でしか、知識・スキルは生かすことができない。
そして、ラストは「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
言葉のもつ力と自分自身の限界を書いている。
1968年 江副浩正 社是 制定
1988年 リクルート事件後 生嶋誠士郎(著者)社是廃止 リクルート事件後過去全否定のなか、江副の社是は社会的規範に反する為
その後、社歌を何度も作るが、全て廃れる
現在まで、江副浩正の社訓は、廃れずに残る
そしてその言葉を心に掲げ、リクルートは動き続ける。
これこそが真に力をもつ言葉だったと。
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