2010年7月15日木曜日

ディナモ・フットボール 宇都宮徹壱の本はすごい

ディナモ・フットボール を読了 これでほとんどすべての宇都宮徹壱の本は読み終えた。
良いジャーナリストだった。また本がでるまではコラムなんかを読んで楽しませてもらおう。

この本は主に東欧諸国やロシアサッカー、旧ソ連諸国のサッカーを廻って旅をしている。
ディナモ・モスクワによる1945年の英国遠征から始まる。
そして、アーセナルとは名ばかりの英国代表との対決に4-3で勝利する。
そして、46年に鉄の壁が引かれ、東欧のサッカーは壁の向こう側にはいってしまった

ディナモの意味は内務省 つまりは国家権力という意味だ。

ディナモという名前には冷戦崩壊で、いまとなっては負けた側の意味合いが強くなっている。
そのディナモを探しにでかけた旅の本だ。

フットボールとクラブの歴史を紐解き、その時代を表現し、そしていまの現状を伝える。
これが彼の手法だ。
DDR最強のクラブチーム、ディナモベルリンのように4部に沈んでいるクラブもある。
クロアチアザグレブから、ディナモザグレブに戻したクラブもある。

そして、ソ連リーグで最強で、シェフチェンコを生んだディナモ・キエフ
戦争で負けて、同化政策でアイデンティティを失ったウクライナ
そこに残るディナモ・キエフ 
やはりサッカーチーム。スポーツチームというのは、人々の心のよりどころになるのか。
とくになにもないところだと、それが強くなる。埼玉における浦和レッズのように。

次の旅路はロシアだ。本田が所属しているリーグ。2000年前後はまだ牧歌的な感覚がある。
その後、政府系のオイルマネーが入り込み、金満リーグになるとは想像だにしえない。
でも、サポーターがあまり入らないというのは変わらないみたいだが。。。

その後、グルジアへ。ディナモ・トビリシ
ほとんどのクラブがディナモの名前を捨てて、そしてもどっていった。没落した名門クラブにとって
その名前が栄光の残滓を感じさせるものだったのかもしれない。

さいごに、なぜ日本人はロシアをこわがるのでしょう。
ソ連の印象でしょうか。
ソ連は十年も前になくなりました

本田がCSKAに移籍するときも、なぜロシアに?と不思議がられた
遠い国だったが、みんなの共通理解としてサッカーがあるのだと感じた。
サッカーはひとつだ。これはよく使われるが、
宇都宮さんの本はそれが本質的に正しいんじゃないかと信じさせてくれるのだ。

これで宇都宮本をほとんどすべて読み終えた。とても素晴らしい読書の旅だった。

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