2011年9月30日金曜日
インドのヒンドゥーとムスリム インドにちょっとだけ詳しくなるブックレット
インドのヒンドゥーとムスリムの宗教対立の歴史とは。
この山川出版社の世界史ブックレットは短いながらも知りたい情報がきちんと詰まっている。
世界史を勉強する人たちの副読本という本の性質なんだろうな。
インドにおけるイスラム教とヒンドゥー教の対立は、1947年パキスタンの分離独立という問題で、いまだに引きずられていうのだが、
この対立が起こったのは一体いつか?
がこのブックレットのテーマ
それは、19世紀後半、ムガル帝国が敗北し、イギリスが支配を確立していくときに、ナショナリズムと宗教が結びついてできたというのがこの本の主張
近世 13世紀、奴隷王朝からイスラム教徒が支配権を確立していく。
イスラムとヒンドゥーは日本の仏教と神道のように習合が行われていた。イスラム教徒なのに、カースト制があったりする。アラーの神とクリシュナ神が同化して表現されたりもする。
同化、習合が進み、またイスラム教徒にとっては宗教的な問題よりも統治するという現実的政治問題が重要だった。
近代にはいり、イギリスが支配を強めていく中、分断して統治せよの原則通り、 国民の宗教であるヒンドゥー教徒を優遇し、支配階層だったイスラム教徒を迫害をはじめる。
また、イスラム教徒のなかでもイギリス化していくものは取り込むようにしていく。
近代の雰囲気として、国民統治として合理化、きちんと分類する科学的手法が発展したのも大きい。
科学的手法として国民の宗教の分類も行われ、ふたつの宗教を信じることは古い事にもなった。
区別を明確にさせた。
その結果、分断された宗教は先鋭化していき、ナショナリズムの高揚と共に、懐古主義的になり、より宗教として純化していこうとして、言語もムスリムはウルドゥー語、ヒンドゥーはヒンディー語になった。
イスラムとヒンドゥーが共闘して戦った1857年のインド大反乱も失敗し、イギリスの強さが際立ち、国家を作る運動から、内省的な宗教運動に埋没するようになっていった。
イスラム教とヒンドゥー教の対立自体は19世紀後半 近代に入ってからのことだと。。。
現在の対立はとても深いが、その対立の根自体の歴史は長くない。
そこにこの問題を解決できる希望が見いだせるのではないだろうか
そんな本だった。
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