2010年12月10日金曜日
細川ガラシャ夫人 明智光秀の娘であり、細川忠興の妻であった人
三浦綾子の本
歴史小説の本の常として、
後年は歴史的出来事がきっちりあるので
その時の出来事を書かなくちゃならない。
そうすると歴史的出来事を追いかけるだけでおわってしまう
なので、歴史小説は資料が少ない為、いろいろと想像力膨らませて作られる上巻のほうが好きだ。
名前だけは知っている、でも、細川ガラシャ夫人のことは、詳しく知らなかったので想像以上に
楽しめた本だった。
前半の明智光秀の次女として玉子が坂本城で暮らしているとき、明智光秀はとても人間味あふれる
人として描かれている。
戦国時代の小説や漫画によって描かれる性格が違うもんだが、
ここまで父として、夫として 素晴らしい存在感を示している明智光秀は読んだことがなかった。
後半になると、この玉子(ガラシャ)の人生は過酷の一途をたどっていく
光秀反乱で、主家信長を殺害、天王山で敗北、殺害。一族全てを皆殺しにされる。
明智光秀の娘、玉子は忠興になんとか生かされて味土野に幽閉される。
常軌を逸した嫉妬心でいっぱいでありながら、愛しすぎて、愛しすぎて堪らない細川忠興。
それと、細川家の当主として、生き残っていくために、玉子をどうするか苦しむ忠興。
大名としての忠興、夫としての忠興。二つの忠興が内面でぶつかりあっている。
忠興に信長公の姿を想像させるところは、玉子の存在が
本当に細い一本の糸しかないことを想像させてしまう。
人生を苦悩と捉えた人間?
その苦悩を与えてくれた神に感謝します という祈りの心を持った人。
戦国DQN四天王の細川三斎さまを夫に持つ以上、並大抵の精神の持ち主ではなかったか…
関ヶ原の戦いの前、石田三成の人質になるのを拒み死を望んだ夫人。
利害損得で動くのではなく、人間としての情熱で動いていた人間として描かれているので
最後の死ぬところも、哀しいのだが、ひとつの生き方だったと受容できるものだった。
さいごの辞世の句
散りぬべき
時知りてこそ
世の中の
花も花なれ
人も人なれ
人間が人間らしく生きるために命をかけたひと。
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