2014年12月3日水曜日

自衛隊メンタル教官の心の疲れを取る方法論 まとめ読書メモ

心の疲れを取る技術読了



本は一貫したテーマ

無理をしない

自衛隊というのは最終ライン。
ここが崩れることは許されない。

そこからできる限り部隊を長く展開するために隊員の精神力はどうしたら保てるか?

答えは、無理はしない。

書いてあることは、基本的にはこれのみ。

それを経験談から語ってくれる(面白い)また独自理論(裏付けがなく眉唾)

本としては展開している理論については説明はなく経験から得た知見で話が進む。

なのだが、自衛官のメンタルヘルス対応教官、最前線で戦っていた人のケアをしていたので、
説得力もあり、また自衛隊の舞台裏を垣間見れる半沢直樹や金融小説、仕事小説のような面白さがある。


無理は、始めのうちはできるが、無理がたたると途中からできなくなる。
症状は感情的になったり、イライラしたり、逆にハイになったりする。

その段階を過ぎると、
別人かと思うような性格や言動、自分を責め、自信低下になる。


無理の説明が面白い

子供の無理

子供の無理とは、我慢する、あきらめない、頑張る、
子供は毎日知力、体力は大きく伸びていく

だからその無理して成長した成功体験を引きずって子供のころと同じような無理をする。

しかし大人にはその体力、知力の伸びはない。
その中でー自分の力量を認めて
状況に応じて柔軟にバランスをとって、協調して行動することが
大人の心の強さ


疲労の質も面白い。

肉体的疲労は、身体が動かない、痛いなどで限界がわかりやすいので
無理しないで止めることができる

しかし、メンタルヘルス精神的疲労はどうしても見えない為
無理を僕然としか感じられない。

感知しにくいからそこで無理してしまう。

無理をすることによって起こる負のスパイラルも説明している。

疲れているときは行動自体にも疲労がたまるので、リカバリーするまでに無理をしなかった隊員よりも2倍から3倍の時間がかかるというのは経験則から

疲れた状態(失敗する確率が高い状態)でありながら無理してできなかった時、
失敗する自分から自己嫌悪が生まれてしまう。
視野狭窄から、人に頼れなくなり

社会性の喪失をしてしまい、社会からの援助がなくなってしまう。

その自己嫌悪から、さらにエネルギー低下
感情の揺れ幅が大きくなり、別人化と思うようになる。
そして自己嫌悪、自己を責めるようになる。

そのスパイラルにならないためには、最初から無理をしない

無理をしない事の基準とは、体力、精神力、時間は7割くらいで留めておく

これ以上はやらない。

バッファをもたせておく。精神的にできたとしても休ませる。
休むことは、身体も休ませることも含まれる。


読んでいて、意志力の科学と通じるところがある。


自衛隊メンタル教官の本を読んで、
より理解を深めたいと思ったら意志力の科学を読むと勉強になる

そのなかには、我慢するだったり、無理をする例もたくさん書かれている
それの心理学的研究成果も一緒にくっついているので、
経験則だけではない信頼感はだいぶある



組織が無理しているとき

教官本は個人だけではなく、自衛隊組織自体の無理についても語っている。
ここは自衛隊の経験則なので、小説のように面白い。

無理している人は戦線離脱させる

潰れる方が怖いし、潰れたらリカバリーに時間がかかるので長期的な戦力低下につながる。

ただ、作戦上どうしても無理や無駄はどうしても発生する。

サプライチェーンでも軍事理論でも最も弱兵を基準に作戦を考えよというが、
そういうわけにもいかないので、
組織は最もできる人ではなく、中間レベルの人を基準に設定する。

もちろん集団行動が絶対の自衛隊だからこそだろうが、
最高の人には、自分の能力以下の行動の為、無駄が生まれるが、

組織としてムラはなくなる

無理を推奨する時、どうしても成功本やらを読んでしまい感化されている時がある。
なので成功論やリーダーシップ論などに気持ちを煽られないことが大事になる。
本で書かれている他人の成功体験にすぎないし、
自分の状況に照らし合わせていかなくてはならない。
だいたいの本には無理が美徳として書かれることが多いので、
読んでいて気持ちを高ぶって無理を生む。

冗長性を食いつぶしてしまう。

そうなると、いざの時、無理をしなくてならない時、
突発的戦争、大規模災害、それに割けるパワーがなくなる。
戦争で例えていたが、チンギスハンの部隊の指揮官は最も優秀なものではなく、
最も平均的な体力を持っているものに設定した。


軍隊では二段階の目標を設定する。

最低限、ここまでという目標と、ここまでできたら御の字素晴らしいという二つにわけ、
無理をせず、また失敗したということでの自信喪失や、そこから生まれる取り戻すという過剰な無理をさせないようにしている。


この本はもう何から何まで無理をしないというテーマ

愚痴をいったり、弱音を吐くというのは、自衛官のイメージではなく屈強な人間というイメージがあるが、
自衛隊のレンジャー訓練などでは、愚痴や不平を言っている方が完遂することが多い。
弱音を吐かない人間はある時ぽっきと折れてしまう。
そもそも弱音とは悪いことなのだろうか、
リーダーにとっては、その人の心の中を聞けるいいタイミングではないだろうか


感情というのは、エネルギーを使う。

怒りや不安、喜び、  それらのエネルギーを無駄使いしない
これも意志力の科学でもエネルギーは有限性という考え方と似ている。


ムラを減らす

ムラの悪い点
安定しないことでの信頼感を失う
エネルギーコントロールしないと、ガス欠を起こす
そのためムラが生まれ、ムラのある仕事をする人には信頼を寄せることは少ない。
他人の信頼が失われ、自信の喪失になる。
だから無理はしないほうがいいのだ。
休めばいいのだ。
休めなければ、逃げるか周りの協力を仰ぐほうが無理をするよりよっぽど良い。


ムラを無くすためには、

自衛隊での取り組みでは、業務スケジュールを立てる。
そこには絶対に動かさない休息時間を入れる
そしてそれを必ず記録を取り、レビューして、大丈夫かどうか改善していく。
ストレスのかかる作業をできるだけ分散化して、無理をかからないようにする
そういった自分のストレスや疲労を分散させ、長期戦を戦えるものを自衛隊では計画表と呼んでいるのだ。

すべては無理をしないためのものなのだ。そしてその結果生まれるムラを発生させない。

一貫して、無理をしないこと、これのみを様々な例をとって説明している。

これプラス、意志力の科学のような科学的な成果が書いてある本と組み合わせて読んだので、より深い理解ができるようになった。

新書はこういった素晴らしいことが200ページくらいで理解できて素晴らしい書物
ただ、残念ながら短さゆえに端折るところが多く、その分野の一般的な入門書と合わせて読む方がより理解ができて、ほんの内容を深くわかることができると思う。













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