黒田如水のはなし
青空文庫で無料で読めるようになったのがうれしい。
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黒田如水というくらいだから、死ぬまで以降やると思ったら半生のみの短編、
元服間近の黒田長政と幼少期の後藤又兵衛の登場等、ある程度の初歩知識がないと意味が分からないところもたくさんある。
黒田官兵衛を読むなら、司馬遼太郎の播磨灘物語が長い分、黒田官兵衛の父、黒田宗円の代から描いており説明が細かい印象。
播磨、兵庫県など、関西人以外だとわからない土地の匂いがわからない。
司馬遼太郎の魅力は、その地域、地域の空気を描いてくれる点だと思う。それが独善的な見方だとしても。
吉川英治の「黒田如水」は1575年7月の長篠の合戦後から1980年7月までのたった6年間だけを書いた本。
それも30歳から36歳というすごく活動的な時代を描いた。 半兵衛が死んだのが36歳で、入れ替わるように羽柴家の幕僚と参加
すごくさわやかなモノノフであり、そして知者、策士でありながら、武士の魂をもっているように描かれた。
(それも書かれた時代が1943年の戦争ど真ん中で宮本武蔵で人気作家になった朝日新聞での連載)
読んだ兵士の方々がいたのかわからないが、自分もこのように武士の本分を成し遂げたいと思わせてくれる高揚感はすごくある。
話のメインは、毛利勢力圏だった播磨を織田勢力圏にひっくり返そうと策略、戦争、外交、諸々をつうじて上手くいっていたところに
荒木村重反乱、説得にいった際に、逆に捕らえられ、有岡城の1年間あまり幽閉されるところ。
そして、救出後、息子を殺害するように命じた主君 信長に 謁見するシーン
歴史小説とは、ある程度の大まかな流れは、史実に任せるが、細かい描写は、より劇的で面白い方にするというのがかいま見れていい
黒田官兵衛が有岡城から救出されて、子供の黒田長政を竹中半兵衛に連れられてくるシーンなどは、すでに半兵衛は陣没している
1579年6月陣没
黒田官兵衛救出1579年10月なので、時期が合わないが、どう描写したら劇的なのか、面白いのか、
信長に謁見するところ、そして処刑されたと思っていた息子との再会というクライマックスを盛り上げるために、
歴史小説は、絶対に参照資料になり得ないことと、歴史文献を上手い形で調理して(史実を曲げてでも)魅力ある人間模様を描く楽しさ。
歴史小説の醍醐味が詰まっている。
それにしても黒田官兵衛という人物。
播磨灘物語で、いちど読んでいるのだが、どうしても官兵衛は主要人物なのに、劇的な人生を歩んでいるのに、
記憶に残りにくい。
名声だけはすごくあるのだが、晩年、如水という名前で、表舞台から引っ込んだからか、どうも印象が薄くなってしまう。
岡田君黒田官兵衛は、清涼感あり、武士としての実直さは、演じるのは得意そうだが、相反するように、策略を巡らせて、鳥取兵糧攻めなど描けるか。
軍監として臨んだ文禄慶長の役をしっかりと描いてほしいとも思う。
九州の大名は、ほとんど大河で取り上げられないので、どんな描写でもいいから、朝鮮征伐を描いてほしいです。
それが出来ると、こんどは九州島津4兄弟も大河の可能性も高まってくると思うのです。
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