最近読んだ本のなかで一番面白かった。
幕末から1902年までの長座番付を見て、老舗企業からベンチャー企業企業まで各企業がどう繁栄衰亡していったのか。
江戸期に栄えた大阪の豪商が、どう企業改革をしていったのか。住友家、三井家、鴻池家などの栄枯盛衰をわけた人材だったり、時代の潮流を嗅ぎ分ける能力など、様々なファクターが原因になっていて、この世の摩訶不思議さをがっつりと感じさせてくれる。
読み口は新書なのでものすごくあっさり、個別の企業、人間に特化した説明なので、
時代小説、経済小説、ビジネス書のように、著者や主人公に強い思い入れは生まれない。
ビジネス書のもつ濃厚な精神性、人間性の高邁さへ追求していけば、結果としてよくなる
という感じでもない。かといってお金の上下のみの価値観でこの本は描かれてもいない。
士魂商才の大阪の政商 五代友厚 ベンチャーキャピタリストとして多くの企業を育てた岩下清周 キリスト教精神の元にできたグンゼ波多野鶴吉 藤田組 藤田伝三郎
多くの人々がそれぞれの価値観で活躍し、なんの因果か成功は収めるが、それを30年、40年と続ける企業の少ないこと。
この本よんで思う事は、
社会は、歴史に関しても、会社運営に関しても、ある程度の幻想というものをもってでしか
自分自身は感じる事ができていないのだなあ。
せめて多くの人の感じられたことを、そして商業主義からではなく出来るだけ学問の良心で作られたものを読んでいこうと感じさせてくれた本。
この本の後書きに、ベンチャー企業、老舗企業のどこでも改革をしたのは、主流派でもなければ、まったくの農民という全く関係ないところでもない 周縁部分 マージナルに位置する存在がこれらの危機にのし上がってきたという。
この本のなかで、最後にでてきた著者の匂い。そういう我のところがどうしても読んでいて面白く感じてしまう。
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